ワンデータイプ以外のソフトコンタクトレンズでは、ケア(洗浄、消毒、保存)が必要です。
古く(1972年より)は煮沸消毒が行われていて、1992年から過酸化水素(H2O2)製剤が開発され ました(現在AOセプトがこのタイプです)が、1995年からは現在の主流な消毒法でもあるMPS(マルチパーパス ソリューション、多目的用剤)が開発されました。
MPSは塩化ポリドロニウム又はポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)を主成分とする洗浄液で、1剤でSCLの洗浄、消毒、すすぎ、保存が出来る利便性のため、現在最も広く使われているケア用品です。(当店で扱っているフォレストリーフ、リペア&モイストがこのタイプで、その他レニュー、コンプリート、オプティフリー等多数あり、蛋白分解酵素やうるおい成分を配合したもの等いろんな種類がでています)
その後2001年にはポピヨンヨード製剤が開発されました。(当店で扱っているファーストケアがこのタイプです)
各消毒法の長所と短所を以下に述べます。
煮沸消毒は殺菌効果に優れ、細菌、真菌はもちろん、最近問題になっているアカントアメーバにも有効ですが、煮沸によりレンズの劣化が起こったり,熱によって変性した蛋白質によるアレルギーの問題、また高含水ソフトコンタクトレンズには使えなかったこと等から現在では用いられておりません。
煮沸消毒の問題点を解決するため以下に述べます薬剤を用いた化学消毒(コールド消毒)が開発されました。
過酸化水素による方法は、加熱によるレンズへの影響は無く、細菌に対する殺菌効果は優れていますが、アカントアメーバには効果が無く、中和が必要など比較的操作が煩雑で、中和が不十分だと、角結膜上皮障害が起きることもあります。
MPSによる方法は手軽で、安全性も高いのですが、こすり洗いが必要で、殺菌効果があまり高くなく、アカントアメーバやに真菌、ウイルスには効果がありません。
ポピヨンヨード製剤は殺菌効果も高く、アカントアメーバや真菌、ウイルスにも有効で、安全性も高い方法です。MPSに比べ割高ですが、眼の安全、安心のためには、出来るだけこちらを使っていただきたいと思います。
(注)アカントアメーバ角膜炎 : コンタクトレンズ装用者に起こる角膜炎の中にアカントアメーバ が原因で起こるものがありますが(頻度としては比較的稀)、角膜炎の中でも診断、治療が難しく(有効な薬剤も少なく)、早期に正しく診断して適切な治療をしないと、治っても角膜に強い混濁が残り失明すること(角膜移植が必要な状態になること)もあります。
コンタクトレンズ(ソフト、ハード)を取り扱う際の基本的注意事項
爪を切って、石鹸でよく手洗いをする。お化粧や整髪はレンズを装着してから。手荒れがひどく指の皮膚がガサガサしていると、こすり洗いの際O2レンズに傷が付くこともあります。
またレンズケースを清潔に保つことも重要です。毎日の洗浄、乾燥と、3か月に1度は、レンズケースを新しいものに交換して下さい。(と言うのは、不衛生な管理によりレンズケースにバイオフィルムと呼ばれる糊状のものに包まれた細菌のコロニーが出来てしまうと、消毒薬が効きにくくなり、コンタクトレンズを介して角膜感染症を引き起こす温床になるからです。)