コンタクトレンズをつけたまま眠ってしまって目が酸素不足になったり、汚れたレンズをつけて炎症を起こしたり。正しく使わないとトラブルの原因に。
1.巨大乳頭結膜炎
コンタクトレンズ使用で起こる代表的な目のトラブルで頻度も高い。
上眼瞼の裏の結膜に、ぼこぼことした乳頭増殖が多数見られ、目やにが出て掻痒感があり、レンズが汚れやすくなり、上にずれやすくなります。
コンタクトレンズの汚れが原因(抗原)となって起こるアレルギー性結膜炎で、ソフトコンタクトレンズ(特に2ウィークタイプやコンベタイプ等ケアが必要なレンズ)で起きやすいが、(ハードCLを含めて)全てのコンタクトレンズで起こることがあります。
抗アレルギー、ステロイド、抗生物質などの点眼薬で2~4週間で症状はたいてい良くなりますが、またすぐコンタクトレンズを再開すると再発しやすいです。なるべく長めにコンタクトレンズやすんだり、装用時間短くしたり、種類変えたりすることも必要なことがあります。
2.角膜血管新生、毛様充血
主に酸素透過性(Dk値)の低いコンタクトレンズの長時間使用による、角膜の酸素不足が原因になって起こりますが、カーブのきつ過ぎるレンズが角膜に固着することによって起こることもあります。
角膜血管新生とは、透明な角膜に周りの白目の方全周から血管が入って来ることで、毛様充血とは、角膜周囲の白目が輪状に充血することです。
酸素透過性の高いレンズに交換したり、レンズのカーブを大きくしてレンズの動きを適切にすることにより治ります。
3.表層性角膜炎、(感染性)角膜炎
表層性角膜炎は、ソフトコンタクトレンズに破れ目が出来ていたり、ドライアイで目が乾燥していて、レンズでこすれて角膜の表面に傷が付いたりする事ですが、(感染性)角膜炎はコンタクトレンズのケア(消毒、保存等)に問題があって、角膜(上皮や実質)に病原体による感染症が起こることです。
表層性角膜炎や、角膜炎のうち細菌性のものは比較的治りやすいのですが、真菌や特にアカントアメーバという病原体による角膜炎は、診断、治療が難しく(有効な薬剤も少ない)、早期に正しく診断して適切な治療をしないと、重い後遺症を残すこともあります。(予防法はソフトコンタクトレンズのケアのところを参照して下さい。)
4.角膜上皮びらん
角膜表面の上皮が剥離してしまうことで、強い痛みが生じます。ソフトコンタクトレンズを付けているほうがバンデージ効果で痛くないのですが(実際そういう治療をすることもありますが)、レンズの下で角膜炎や角膜潰瘍等が進行することもありますので、必ず眼科を受診して下さい。
4.角膜内皮細胞障害
角膜内皮細胞は角膜の透明性を維持するのに大変重要な細胞で細胞分裂はしません。
古くは酸素を通さないPMMAという素材のハードコンタクトレンズの長期装用者で、角膜内皮細胞数が減少していることが指摘されていましたが、その後ソフトコンタクトレンズの長期間の連続装用や、場合によっては酸素透過性の低いコンタクトレンズの長期間の終日装用でも、角膜内皮細胞数の減少が起こりえることが分かってきました。
コンタクトレンズの装用による角膜内皮細胞障害で角膜移植が必要になった、という話は今のところ聞いたことがありませんが、とても重要な再生しない細胞ですので、出来れば酸素透過性の高いコンタクトレンズの終日装用にして大切にしていきたいものです。
コンタクトレンズを使用していて、異常(見え方の異常、装用感の異常)を感じたら。
見え方の異常も、装用感の異常も、いずれも、コンタクトレンズに原因がある場合と、目の方に原因がある場合の双方ありますので、はずしたコンタクトレンズをご持参のうえ、早めに眼科専門医を受診して下さい。